動脈硬化は全身の動脈で起こります。脳動脈に動脈硬化があれば心臓の動脈(冠動脈)や手足の動脈にも動脈硬化がある可能性があります。また、脳梗塞の中には心原性脳塞栓症という不整脈や心臓弁膜症が原因のものがあります。以上のように、脳卒中と循環器疾患は深い関わりがあり、循環器外来と脳神経外科は協力して治療に当たらせて頂きます。どうぞよろしくお願い致します。
循環器外来は、一般的には心臓や血管に関わる疾患を対象とする診療科です。主な症状には「胸が苦しい」「動悸がする」「息切れがする」「足がむくむ」などがあります。
当院の循環器外来は、脳疾患と関連した循環器疾患の患者さんを対象とした専門外来で、主に手術予定の患者さんの術前検査、循環器疾患を合併・併存している入院患者さんの検査・治療、またその患者さんの退院後の外来診療を行っています。
脳卒中のうち、日本では脳の血管が詰まる「脳梗塞」が4分の3を占めていると言われています。また脳梗塞のうち2割程度が、何らかのきっかけで心臓で作られた血栓が脳へ運ばれて血管を詰まらせる「心原性脳塞栓症」です。心原性脳塞栓症の原因で多いのは心房細動(脈が不規則に乱れる不整脈)であり、脳疾患と心臓は深い関わりがあることがわかります。当院の循環器外来では、心原性脳塞栓症の原因精査に力を入れています。
心原性脳塞栓症で原因が見逃されやすいものに、卵円孔開存(PFO)と発作性心房細動があります。
PFOは心臓の左右の心房の間にある心房中隔に隙間がある状態です。 胎児期の遺残であり、成人の約20%にあると言われています。PFOが存在しても問題はありませんが、咳や排便などのお腹に圧力のかかる状況では、足などの静脈にある血栓が心房中隔の隙間を通過して頭の血管に到達し、脳梗塞を起こすことがあります。見つけるためには経食道超音波検査(胃カメラのような検査)や心臓超音波検査でのバブルテストが有効です。バブルテストは点滴に少量の細かい泡を入れて心臓を超音波で観察し、お腹に力をいれても泡が右房から左房へ抜けていかないかを確認する検査です。
発作性心房細動は、通常の心電図検査や24時間心電図を記録するホルター心電図でも見つからないことがあります。そのような場合、埋め込み型心電図モニターを皮膚の下に埋め込む処置も施行可能です。失神(意識消失発作)は不整脈が原因のことも多く、植え込み型心電図モニターは失神の原因精査にも有用です。
心原性脳梗塞は重大な後遺症を残す可能性があり、脳神経外科と協力して診療を行っていきます。
田中 気宇
たなか きう
非常勤医師
所属 | 信州大学医学部附属病院 循環器内科 |
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