
認知症は年齢とともに誰にとっても身近な病気ですが、近年、日々の「食事」が発症リスクの低下に関わる可能性があることが分かってきました。今回は、当院の管理栄養士が認知症予防の観点から意識したい食事のポイントを分かりやすく解説します。
全身をめぐり、酸素や栄養を体中に届ける役割の血管を健やかに保つことは、認知症や脳卒中をはじめ様々な疾患の予防に役立ちます。そのため日頃の食生活を見直し、できることから改善していく事が大切です。認知症予防に有効な食生活のポイントとして次のものがあります。
①多様な食品からバランスよく栄養をとる
②塩分を控える
③自分の適正カロリーを知る
次に、認知症予防のための食生活について、①~③のポイントに沿って詳しくお伝えしていきます。
できるだけ食べる物が偏らないようバランスのよい食生活を送りましょう。バランスのよい食事とは、米飯、パン、めん、などの主食(エネルギー源)。肉、魚、卵、豆腐などの主菜(骨や筋肉を作る蛋白源)。野菜、きのこ、海草類などの副菜や汁物(主食や主菜から補いきれないビタミン、ミネラル、食物繊維などの補給)を組み合わせた食事です。
一汁三菜を基本とする和食は、このバランスのよい食事をかなえるための要素が詰まっている為おすすめです。また、この中でも特に欠かさずとって頂きたいのは主菜にあたる蛋白質です。
骨や筋肉の機能低下は、転倒しやすさや骨折による寝たきり、その先の認知症を招きます。これらの機能維持のために蛋白質は不可欠で、主食だけで済ます食事からでは摂りきれません。蛋白質が入っているか、毎食ぜひ食事を見回しチェックして頂ければと思います。
また、認知症予防に効果的とされる食品や栄養成分として、青魚(EPA、DHA…脳の機能維持、動脈硬化予防)、緑黄色野菜(ビタミン類…抗酸化作用)、緑茶(カテキン…アルツハイマー型認知症の原因物質の蓄積を抑制する可能性)などがあり、このような食品も利用しながらバランスのよい食生活を心がけましょう。
塩分のとり過ぎは、高血圧の原因の一つであり血管への負担も一層強くなります。めん類のつゆを残すなど、こまめな食事習慣が大きな減塩につながります。
また、お酢やレモンの酸味、だしの旨味、適度な香辛料などを活用すると味にアクセントがつき、薄味でも気になりにくく、自然に減塩できます。
普段の食生活の中で、ご自身の適正体重は何キロか、1日あたり何キロカロリー摂取するとよいか、ご存じでしょうか?適正体重やカロリーを知り、それに近づける食生活、また適正範囲内でお過ごしの方は、これからもそれを維持していきましょう。
適正体重やカロリーを知る計算式は多々ありますが、簡単な計算法として次の計算式から求めることができます。

認知症予防のため、おすすめの栄養素を取り入れつつバランスよく食事をとることが大切です。
また、単に食事をとるだけでなく、「料理を作る」という動作自体もまた、認知症予防につながる大切な行為です。今ある食材だけで作れる料理を考える、何時に食べられるよう時間配分や調理工程を工夫する、限られた調理器具やコンロでどのように作ろうか等、考え工夫しながら調理することは脳の活性化にもつながり、日常生活の中で楽しんでできれば、さらに素敵です。
とはいえ、料理が苦手な方や時間が無いという方も多くいらっしゃると思います。最近では、使用する野菜の量や種類を増やしたり、塩など味付けに配慮したお惣菜や外食メニューも多くなっています。上手に選びながら、多様な状況の中でバランスのよい食事ができる方法を見つけていきましょう。
さて、今回は「認知症 予防のための食事」をテーマに解説しました。
一之瀬脳神経外科病院では、脳疾患に関する様々なテーマで、健康コラムを公開しています。次回のテーマは「認知症 予防のための運動」です。どうぞご期待ください!
一之瀬脳神経外科病院 栄養課
降籏 典子
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