健康コラム

睡眠時無呼吸症候群の治療

睡眠時無呼吸症候群の治療

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: 頭文字をとってSAS(サス)と呼びます)とは、睡眠中に 10 秒以上呼吸が止まったり、呼吸が浅くなる回数が一定回数を超えた場合に診断される疾患です。睡眠中に無呼吸があると血液中の酸素濃度が低下し、熟睡できなくなるため、起床時の疲労感や頭重感、昼間に強い眠気などが生じやすくなることを以前のコラムでお話しました。今回は、一之瀬脳神経外科病院で実際に行っている睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療についてお話したいと思います。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の対症療法の1つとして CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法:シーパップ)があり、当院でも検査を経て睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された方はCPAPによる治療を行っています。CPAPは睡眠時にマスクを装着し、マスクにつなげた機械から圧力をかけた空気を送り込むことによって気道の狭窄を軽減し、無呼吸を減らす治療法です。マスクの調整や、患者さんに適した空気圧の調整などを行いますので、治療開始時はマスクを装着して寝ることに違和感がある人もいますが、毎日装着しているうちに多くの患者さんが慣れていきます。

CPAPは治療機器であり、薬と同様に医師が処方し、医療機器の会社からレンタルされます。CPAPは使用している間のみ無呼吸を改善する効果があるもので、睡眠時無呼吸症候群(SAS)自体を治すものではありません。CPAPを使用していないときは元の状態になるため、毎日継続的に使用することが重要です。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と脳卒中の予防について

一之瀬脳神経外科病院では脳卒中で入院された患者さんのうち、医師が必要と判断した場合、入院中に睡眠時無呼吸の簡易検査を行っています。2021年度に当院で簡易検査を受けられた方のうち、26.4% が1時間あたりの無呼吸低呼吸の回数が40回以上の重症で、簡易検査のみで要治療の睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断されました。また中等症以上の要精密検査の方は45.7%でした。そして精密検査を受けた方の49.9%が要治療の結果でした。睡眠時無呼吸症候群は脳卒中の発症リスクになることがわかっており、当院のデータからも脳卒中の患者さんには睡眠時無呼吸症候群を合併されている方が多いことがわかります。睡眠時無呼吸症候群の治療が必要と診断された場合は、症状の軽減や脳卒中予防などのために早期に治療を開始することが大切です。ご心配な症状がある方は一度ご相談下さい。

一之瀬脳神経外科病院 総合診療科 丹羽 智宏

 

 

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