一之瀬脳神経外科病院の健康コラムで、これまで①・②とお送りしてきた「一過性脳虚血発作(TIA)」ですが、シリーズ最終回となる今回は、これまでのおさらいと治療についてお話ししたいと思います。
TIAとは
TIAの治療基準
TIAの治療
順番に解説していきます。
TIAとは、なんでしょうか?脳卒中学会の定義では、
とあります、もう少し噛み砕いていうと、
麻痺や失語、呂律障害などの症状が一時的に出現(1時間以内が多い)した後に症状が改善する。
となるでしょうか。
「症状が改善するんだ、よかった。」と安心するのは早いかもしれません。
TIAを起こした人の約30%がその後脳梗塞を発症したという報告があります。
しかもそのうち半数は1年以内に脳梗塞になり、5分の1は、TIA後1週間で脳梗塞となっているのです。
では、もしTIAが生じたらどうしたらいいでしょうか?
まずは脳卒中の専門病院を受診し、脳梗塞リスクを評価します。リスク評価にはABCD2 Scoreを用います。
こちらのスコアが高いほど脳梗塞の再発リスクは高いとされています。
TIA急性期(48時間以内)の治療はアスピリン160-300mg/日の投与が推奨されています。
TIA後発症早期に治療を受けた場合には90日以内の大きな脳卒中発症率が80%軽減された、と脳卒中ガイドライン2021でも報告があります。
上記のような症状を見かけたら、症状が消失したからといってそのままにせず、速やかに脳卒中専門病院の受診を受けるようにしてください。
一之瀬脳神経外科病院 脳神経外科 一之瀬 大輔
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