健康コラム

TIAシリーズ ①目と脳のつながり

TIAシリーズ ①目と脳のつながり

視界がぼやける、物が見えづらいなどの症状が現れたとき、目の病気を疑う方が多いかもしれませんが、必ずしも目の病気とは限りません。脳に問題があった場合にも、目の異常として症状が現れる場合があります。
ある日突然、片方の目だけが一時的に見えづらくなるものとして「一過性黒内障いっかせいこくないしょう」と呼ばれるものがあります。「見えなくなった」「視界が真っ暗になった」「霧がかかるように白っぽくなった」状態が数分間続いて元に戻ります。このような症状の原因として、目の血流障害によるものの可能性があります。目に血流を届ける「眼動脈」と呼ばれる血管は、心臓から脳に血流を運ぶ“内頚動脈”の分岐にあたります。一過性黒内障は、血栓が飛んできてこの眼動脈を詰まらせる、もしくは眼動脈の血流そのものが低下することによって起こります。いずれの場合も背景に頚動脈狭窄が隠れている場合があります。血栓が詰まった場合は、その後血栓が粉々に砕けて流れ去ったり、溶けて消失したりすることで血流が再開し、何事もなかったかのように元に戻ります。眼動脈の血流が低下する場合は血流の改善とともに症状も改善します。症状は一時的で、すぐ消えるため「治った」と思い込みやすいですが、繰り返し起こることもあります。
このような症状は、本格的な脳梗塞の前兆とも言われる「一過性脳虚血発作TIA:ティーアイエー)」の可能性があり注意が必要です。まずは専門医で、脳のMRI検査はいかがでしょうか。
次回は一過性脳虚血発作(TIA)について詳しくお話したいと思います。

一之瀬脳神経外科病院 脳神経外科  小林 辰也

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