一之瀬脳神経外科病院では、脳疾患と関わりの深い疾患についても治療を行っています。今回は当院に専門外来もある「禁煙」をテーマにお話します。
タバコをやめたいなと思う方は多いと思います。
喫煙は健康に多大な害を及ぼします。たばこに含まれる有害物質が呼吸器系や循環器系に深刻な影響を与え、がん、心臓病、脳卒中、慢性呼吸器疾患などの病気のリスクを増加させます。また、周囲の人々への健康への影響もあります(受動喫煙)。経済的な損失や社会的な問題も喫煙に関連しています。長期間の煙草代は、累積すると高級車に匹敵するほどになります。
たばこの煙の中には、多くの発がん性物質が含まれます。 これらへの曝露でDNAの損傷を引き起こしがんのリスクを高めます。 喫煙との因果関係が明らかになっているがんも複数あります。喫煙者が何らかのがんになるリスクは、非喫煙者の1.6倍(男性)と1.5倍(女性)という結果があります。 もしたばこを吸っていなければ失われないで済む命があることになります。
喫煙は動脈硬化を促進する主要な要因の一つでもあります。たばこの煙に含まれる有害物質が血管壁にダメージを与え、炎症を引き起こし、コレステロールやその他の脂質が血管内に蓄積するプロセスを加速します。これにより、動脈が狭窄し、血流が制限され、心臓病や脳卒中などの重篤な合併症が引き起こされるリスクが高まります。禁煙は動脈硬化の進行を遅らせることができるため、健康上重要です。喫煙は多くの健康問題を引き起こし、がんや心臓病などのリスクを増加させます。禁煙することで、健康を改善し、長寿を促進することができます。
電子タバコならいいのではと思われるかもしれませんが、まだ不明な点も多く健康上の懸念もあります。一部の研究によれば、電子タバコの使用は、肺の問題や心血管疾患などの健康リスクを増加させる可能性があります。また、若者にとってはニコチン中毒のリスクや喫煙の習慣を始めるきっかけとなることも懸念されています。
喫煙者の方は上記のことは重々承知と思います。それでもやめられないから困るのです。禁煙を目指す場合は、禁煙外来などの専門家のサポートを受けることもできます。禁煙外来は、禁煙をサポートするための専門的な医療施設やプログラムのことです。これらの外来では、医師や専門家が禁煙の方法や戦略を提供し、患者が禁煙を達成するための支援を提供します。一般的に、禁煙外来では医学的なアドバイスや薬物療法、心理的なサポートなどが提供されます。
健康保険が適応され、その費用はおよそ1ヶ月分のタバコ代に相当する程度です。
禁煙をサポートするための医薬品もあります。これらの薬は、禁煙時のニコチン離脱症状を軽減し、禁煙成功率を向上させる助けとなります。
ニコチン置換療法
禁煙時に出現するニコチン離脱症状(タバコが吸いたい、イライラするなど)に対して喫煙以外の方法でニコチンを体内に補給し、その症状を軽くすることで無理なく禁煙につなげる方法です。治療薬にはニコチンパッチ、ニコチンガム、ニコチン吸入器などがあります。
禁煙補助薬
脳の中のニコチン受容体に作用する、ニコチンを含まないタイプの薬です。禁煙補助薬には、バレニクリン*やブプロピオンなどがあります。*バレニクリン:現在出荷停止のため使用できません。
禁煙を成功させるためには、基本的には本人の意思が非常に重要ですが、禁煙をサポートする専門外来や治療薬もあります。ご自身や周りにいる大切な方の健康のためにも、禁煙をご希望の方は一度ご相談ください。
一之瀬脳神経外科病院 脳神経外科
関口 泰之
禁煙外来
実施日:月、火(AM)、水、木、金曜日(AM)
担当医:関口医師、丹羽医師
事前予約可:0263-48-3300
※予約の電話は、平日14:00~16:00、土曜11:00~13:00にお願いいたします。
0263-48-3300( 24時間365日対応 )
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