健康コラム

脳卒中予防シリーズ③脂質異常症

脳卒中予防シリーズ③脂質異常症

一之瀬脳神経外科病院では、脳疾患と関わりの深い疾患についても治療を行っています。今回は脳梗塞の危険因子「脂質異常症」について詳しく解説します。

脂質異常症とは

以前は「高脂血症」とも呼ばれておりましたが、善玉コレステロール値が低いことも問題となることから、現在は脂質異常症と名称が変わっております。

血液中の脂質の異常には、主に

・高LDLコレステロール血症 (悪玉コレステロール値が高い) 140 mg/dL以上

・低HDLコレステロール血症 (善玉コレステロール値が低い) 40 mg/dL未満

・高TG 中性脂肪血症(中性脂肪値が高い) 150 mg/dL以上 (空腹時)

があります。

 脂質異常症は、同じく生活習慣病の一つである高血圧と同じように、それ自体で痛みや苦しさなどの自覚症状を生じたりすることはありません。しかし、この中でも特に高LDLコレステロール血症は、脳梗塞や心筋梗塞など血管が詰まる病気を発症する大きな原因となります。

脳梗塞のリスク!?高LDLコレステロール血症

それではなぜ血中の悪玉コレステロール (LDLコレステロール)が多いと脳梗塞のリスクになるのでしょうか。それは、血中の過剰な悪玉コレステロールが頚動脈や脳動脈の血管壁に取り込まれるようになり、血管壁の内側にプラークと呼ばれる膨らみ(血管に貯留するごみのようなもの)を生じるためです。

このプラークにより血管の内腔が狭くなると、血流が滞って血栓を生じるようになり、またプラーク自体が痛んだ血管壁から漏れ出て血流に乗り、脳の血管へ飛散して閉塞させることで脳梗塞を発症します。このプラークの恐ろしいところは、自覚症状がないため検査をしなければ発見することはできず、進行していることに気づかないうちに脳梗塞を発症することです。

そのため脂質異常症を指摘されたら早めにMRI検査や頚動脈超音波検査(エコー検査)で血管を調べておくことが大切です。また一度形成されたプラークは自然に消失・改善することはないため、それ以上進行しないように生活習慣を是正し、採血の値によっては薬物治療を開始することも重要です。

生活習慣の改善と薬物治療

食事療法

食事全体に占める油分の割合を減らすのが重要ですが、特に飽和脂肪酸を多く含む牛脂やラード、バターなどの乳製品を減らし、不飽和脂肪酸を含む植物油(ごま・オリーブなど)や魚油を相対的に増やすことが大切です。

運動療法

130分程度の有酸素運動を行うことでHDLコレステロール (善玉コレステロール)を増やし、中性脂肪を減らす効果があります。毎日行うことが最良ですが、時々でも効果があるため継続することが大切です。

薬物療法

特に高LDLコレステロール血症において、スタチンと呼ばれる種類の薬剤は肝臓でのコレステロール合成を抑えることでLDLコレステロールを減らす効果があり、脳梗塞や心筋梗塞の発症リスクを低下させることが証明されています。 

外科的治療

食事・運動療法や薬物療法を行っても脂質異常症に伴う頚動脈の狭窄や脳血管狭窄の進行を認める際、外科的治療の適応となります。

頚動脈の場合は血管内にカテーテルを挿入して狭窄部位を拡張させる「ステント留置術」、直接頚動脈のプラークを除去する「頚動脈内膜剥離術」、脳血管の場合は狭窄部位の先の血管に別のルートから血液を供給できるようにする「血管吻合術」(バイパス手術)などがあります。

終わりに

 一之瀬脳神経外科病院では採血による脂質異常症の診断やMRI・エコーによる血管評価が可能であり、また脂質異常症と診断された場合には管理栄養士による食事・栄養指導や、医師による薬物療法の導入を行っております。さらに外科的治療の適応と判断された場合には、カテーテル治療・直達手術のいずれも行っており、脂質異常症により生じる脳卒中の予防治療を全て施行可能です。脂質異常症と診断された際には、ぜひ一度当院にご相談下さい。

参考文献:動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2022年版 / 脳卒中治療ガイドライン 2021 〔改訂2023〕

一之瀬脳神経外科病院 脳神経外科

一之瀬 峻輔

 

 

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