健康コラム

脳卒中予防シリーズ①高血圧

脳卒中予防シリーズ①高血圧

一之瀬脳神経外科病院の健康コラム、今回から「脳卒中予防」に焦点を当てて、シリーズでお送りしていきます。シリーズ1回目のテーマは、脳卒中の危険因子でもある『高血圧』です。

脳卒中とは!?

脳卒中とは脳血管障害の一般的な名称で、脳血管の閉塞・破綻により神経症状が出現した状態の総称です。虚血性脳血管障害としては脳梗塞、出血性脳血管障害としては脳出血・くも膜下出血があります。脳梗塞には比較的大きな脳動脈の動脈硬化による狭窄と閉塞によるアテローム血栓性脳梗塞、心臓内塞栓による心原性脳塞栓症、細い穿通枝の閉塞によるラクナ梗塞があります。脳出血は脳内の細い動脈が破綻して脳実質に出血を生じた状態です。くも膜下出血は脳動脈瘤や脳動静脈奇形など、くも膜下腔の血管の破綻で出血した状態です。心原性脳塞栓症は心臓疾患が原因となりますが、その他の疾患には高血圧がその危険因子の1つにあがります。

脳卒中の原因にもなる!?高血圧

脳卒中ガイドライン2021によると「脳卒中発症予防のため、高血圧患者では降圧治療を行うよう勧められる。降圧目標として、75 歳未満、冠動脈疾患、蛋白尿陽性の腎機能障害、糖尿病、抗血栓薬服用中の場合は、13080mm Hg未満が妥当である。75歳以上、両側頸動脈狭窄や主管動脈閉塞がある場合、蛋白尿陰性の腎機能障害では降圧目標は14090mm Hg未満が妥当である。降圧薬としては、カルシウム拮抗薬、利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンII 受容体拮抗薬などが勧められる。」とあります。

血圧が高い状態が続くと血管の内側に強い圧力がかかります。血管の壁はその圧力に対応して、次第に厚く硬く変化し、動脈硬化が進みます。動脈硬化の進んだ血管が詰まれば脳梗塞に、破ければ脳出血になります。 血圧は、心臓から押し出される血液の量と、血管の太さ、血管壁の弾力性により決まります。血液の量が多くなったり、末梢の血管が収縮したり、血管が硬く細くなると血圧が上がります。高血圧には、血圧を上げる原因を特定できない本態性高血圧と、特定できる二次性高血圧があります。高血圧の大部分の人が、本態性高血圧です。腎臓や神経系などに何らかの遺伝的な異常があり、そこに生活習慣や環境の要因が加わって起こります。二次性高血圧の原因には原発性アルドステロン症、褐色細胞腫、クッシング症候群、甲状腺機能障害、副甲状腺機能亢進症、先端肥大症、腎性高血圧、睡眠時無呼吸、大動脈狭窄症、脳幹部血管圧迫などがあります。 

血圧を下げる方法

血圧を上げる要因として、塩分の過剰摂取、ストレス、激しい運動、寒冷刺激、寒暖差、睡眠不足、過度のアルコール摂取、便通時のいきみ、運動不足、肥満、体質、喫煙、性格、病気があります。逆に下げるものとしては、減塩、休養とストレス対策、睡眠、運動習慣、減量、暑さ、入浴、少量のアルコールなどがあります。 

終わりに

脳卒中にならないために、血圧管理はとても大切です。生活習慣に注意して、お薬を内服されている方は、きちんと定期的に内服を行い、二次性高血圧の可能性を考慮しつつ、ゆっくりと降圧治療に取り組む事が脳卒中の予防にもつながります。

参照:year note 2020 /脳卒中治療ガイドライン2021 /脳神経外科学 改訂12版わかりやすい病気の話シリーズ9高血圧 一般社団法人日本臨床内科医会

一之瀬脳神経外科病院 脳神経外科

関口 泰之

 

 

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