「片頭痛」という言葉は広く知られており、頭痛持ちの方が自分の症状を説明する時に良く用いられることがあります。しかし、医師によって診断される「片頭痛」には明確な診断基準があり、一之瀬脳神経外科病院では患者さんの頭痛症状を伺う際にどの程度診断基準に当てはまるのか確認しながら診察を進めております。
片頭痛の特徴の例として、
などがあります。また、
(閃輝暗点:せんきあんてん、と呼ばれます)
といった特徴もあります。
明確には解明されていませんが、顔面や頭皮の感覚を司る三叉神経という神経が「様々な刺激」を受けることで、その支配する血管に炎症が起きて頭痛を感じると考えられています。この「様々な刺激」のきっかけとなる原因として、ストレス、疲労、空腹、睡眠の過不足や月経周期(ホルモンバランスの変化)、天候の変化(低気圧など)が知られています。
片頭痛の予防、対処法について頭痛発作を減らすためには、過度のストレスや疲労を避けるほか食事をきちんと摂る、睡眠不足・過睡眠を避けることが大切です。頭痛が生じた際には、痛む部位を冷やすことで軽減することがあります。逆に温めたり、入浴するなどは頭痛が悪化する可能性があり、避けた方が良いとされます。特に頭痛が強い場合には、静かな暗い場所で横になる・眠ることが有効です。
片頭痛治療は薬物療法が中心で、薬の種類には
があります。
1. 急性期治療薬
消炎鎮痛薬
アセトアミノフェンやロキソプロフェンなど、頭痛以外の痛みや発熱にも用いられる薬剤です。軽度の片頭痛に有効で、市販でも手に入れやすい利点がありますが、強い片頭痛発作には効果が不十分なこともあります。
トリプタン製剤
片頭痛治療に特化した薬剤です。片頭痛にかかわる血管拡張を抑える効果や炎症物質の産生を抑える効果があり、一般的な鎮痛薬よりも強い鎮痛効果を得られることが期待できます。頭痛の程度が強い場合は初期から導入することもあります。血管を収縮させる効果があり、脳梗塞や狭心症などの既往がある場合は使用できません。
2. 予防薬
毎日内服することで頭痛発作の起きる頻度を少なくする効果のある薬剤です。頻度だけでなく、1回ごとの頭痛の程度も軽減する効果があり、鎮痛薬の効果をより高めるのにも有用です。内服してから効果を発揮するまでに1ヶ月程度かかることがあり、即効性がないことが欠点です。
2021年より即効性があり、かつ毎日内服する必要のない注射薬タイプの予防薬(CGRP関連抗体薬)が発売され、当院でも頻度の多い重症な片頭痛の方に対して積極的に導入しています。
片頭痛は正しい診断がつかないまま放置したり、軽い頭痛だからと考えて市販薬だけを不適切に使用したりしていると、その症状がさらに重くなっていく場合もあります。
一之瀬脳神経外科病院は予約制で頭痛専門外来を設けており、片頭痛を適切に診断・治療できるよう努めております。日々の頭痛で悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
また、いつもと違う突然の頭痛や、経験したことのないような強い頭痛は、生命に関わる場合もあります。急を要する際は当院の一般外来にご相談ください(予約がなくても受診可能です)。
一之瀬脳神経外科病院 脳神経外科 一之瀬 峻輔
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