理事長 一之瀬 峻輔
一之瀬脳神経外科病院では、2023年9月より「無痛MRI乳がん検診-DWIBS-」を開始しました。無痛MRI乳がん検診の魅力や、なぜ脳神経外科の専門病院で乳がん検診を行うことになったのか等、一之瀬峻輔理事長に聞いてみました。
乳がんは、今や9人に1人がかかる病(国立がん研究センターがん統計)であり、しかも他のがんに比べて比較的若い、働き盛り世代を襲う病だと言われています。大切なのは、乳がんをできるだけ小さく、転移のない時期に見つけて、早い段階で適切な治療を受けることです。早期に発見し、早期に治療を開始することで身体的な負担も少なく、予後もとても良いことがわかっています。
早期発見のためには、やはり定期的に乳がん検診を受けることが大切になってくるわけですが、日本人の乳がん検診受診率は、欧米(約7~8割)に比べてまだまだ低い水準(約5割)で推移しています。
そんな時、MRIで行う“痛くない”、そして低侵襲な(身体に負担の少ない)乳がん検診があるということを知りました。元々保有しているMRI機器を活用して、“脳”以外の部分でも地域のみなさまの健康増進のために貢献したいと考え、今回「無痛MRI乳がん検診」を導入しました。
一般的に「乳がん検診」と聞くと、どうしても“痛みがこわい”というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。無痛MRI乳がん検診の最大の特長は、やはり痛くないことです。胸部がくり抜かれた専用ベッドにうつ伏せになって検査を行い、乳房を圧迫しないので痛みはありません。
当院では専用の検査着をご用意しておりますので、着衣のまま検査を受けることができ、乳房を見られず・触られず、プライバシーを護った検査ができます。MRIを使った検査なので、放射線による被ばくの心配もありません。
また、日本人女性はデンスブレスト(高濃度乳房:乳房内の乳腺の割合が高い状態)の割合が高く、マンモグラフィ検査を行うと乳房全体が白く映り、病変が発見されにくいと言われています。無痛MRI乳がん検診は、デンスブレストの方でも乳腺の量に左右されずに撮影ができるので、がん発見率に期待が持てる検査と言われています。
※平均的なマンモグラフィ検査による乳がん発見率は1000人あたり2.7人。無痛MRI乳がん検診による乳がん発見率は1000人あたり14.7人(ドゥイブス・サーチ調べ)
検査は、火・木・金曜日の15:00、15:30から予約できます。最近では、土曜日の9:30からも受けていただけるように予約枠を設けました。お電話からはもちろん、インターネットからもご予約いただけます。
検査後2週間程度で、ご自宅に郵送します。
なお、読影・診断は「無痛MRI乳がん検診」を開発した株式会社ドゥイブス・サーチに所属する放射線診断医が行っています。
一般的な検診では結果レポートに、所見がない場合「異常なし」とだけ書かれていることが多く、受診された方が心配な所を本当に診てくれたかどうかわかりません。無痛MRI乳がん検診では、問診の際に伺ったお体の気になる点(自覚症状やお悩み)について重点的に確認し、受診された方にわかりやすい表現でレポートを記載します。ご自分の検査画像と共に、画像の見方などの詳しい説明書を付けてレポートをお届けします。
報告書の一部
※上記は見本です。実際には受診医療機関の名称が入ったレポートがお手元に届きます。
当院の無痛MRI乳がん検診を受けられた方で、さらに詳しい検査や治療が必要となった場合は、専門の医療機関への紹介状をお渡ししております。スムーズにご受診いただけるよう、サポートさせていただきます。
これまで「痛みがこわい」「服を脱ぐ検査に抵抗がある」などの理由で乳がん検査から遠ざかってきた方にも、無痛MRI乳がん検診のような新しい選択肢があることを、まずは知っていただきたいと思います。
そして大切なのは、1人でも多くの方が、通常のマンモグラフィ検査、無痛MRI乳がん検診であるかを問わず、定期的な乳がん検診を受診していただけるようになることです。当院の無痛MRI乳がん検診が、その1つのきっかけになればと思います。
一之瀬脳神経外科病院は、脳神経外科の専門病院として、引き続き地域の脳卒中治療に貢献していくと共に、“脳”以外の部分においても、みなさまの健康増進のお役に立てるよう尽力してまいります。
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