医療スタッフインタビュー

看護部長が教育体制を語る

看護部長が教育体制を語る

看護部長 佐藤 圭子

今回の医療スタッフインタビューでは、看護部の取り組みや脳神経外科ならではの看護の形、日々の教育に対する思いについて、佐藤看護部長にお話を伺いました。

一之瀬脳神経外科病院で働く魅力について教えてください。

当院は脳神経外科の専門病院ということももちろんありますが、急性期病棟では看護師が「救急対応」「ICU」「手術室」「緊急カテーテル治療」など、全て対応するようになります。そういう意味では、知識・技術面共に、脳神経外科看護師として“エキスパート”になれるというのが最大の強みと言えます。業務中は多忙に感じるかもしれませんが、「人が好き」「脳神経外科が好き」という方であれば、キャリアアップできるのではないかと考えています。

一之瀬脳神経外科病院ならではの患者さんとの関わりというのはあるのでしょうか?

当院には、麻痺や失語があって何か自分でアクションを起こしたいけれど、それができない患者さんが多いです。例えば同じ脳梗塞という疾患でも、脳のどの部分で起こったかによって病状が全く違います。まずは疾患や病態生理からアセスメントする視点を持つ。
さらに患者さんがどうしたいのか心理的なアセスメントを加える。この2つの視点を基に、患者さんの言動や表情など細かい部分を観察し、患者さん1人ひとりの“個”にあった看護計画を立てて実行します。急性期病棟は47床なので、47人分の看護計画が存在します。患者さん1人ひとりの病状や個性に合わせて、個別性のある看護計画が立てられる、そういった関わり方ができるのが「当院ならでは」な部分かもしれません。そこが当院の看護の魅力でもあり、難しさという部分でもあるのだと思います。

やりがいを感じる瞬間はどんな時でしょうか?

お若い方、ご高齢の方に限らず、突然疾患を発症されて日常生活が一変してご入院される。そんな方々が、急性期の治療・回復期のリハビリを経て退院される。ありふれているかもしれないが、「ここでとてもお世話になった」と言っていただくと、個人的にも嬉しいですし、そういった看護ができたことが、看護部としてお役に立てたのかなと思えてやりがいを感じます。
ここ1年くらいは30~50代くらいの比較的若い患者さんが増えてきたという印象があります。働き盛りの患者さん達は、最終的にADLを確立して社会復帰されること、また家庭内では父親母親の役割を全うするということが一番の目標になるかと思いますが、麻痺や後遺症がありながらも「このレベルまで自分のことができるようになった」などお声をいただくと、良い医療の下に、良い関わりや看護ができたんだなとやりがいを感じます。

当院の看護師に求められるスキルや心構えはありますか?

一般的な看護の知識・技術以外に、脳神経外科なので、専門的知識や技術が求められるという部分はあります。また手術や血管内治療の介助などのスキルも求められます。
しかしそれよりも重視しているのは、人としての品格や、人を見る目を持つという、看護師である以前の部分です。それぞれがこれまでの人生で重ねてきたものはあるものの、「人として」成長できるような、そんな看護部にしていきたいです。

当院独自の魅力を教えてください

私自身、大規模病院での勤務も経験していますが、当院には、77床という小さな病院であるからこその強みがあります。職員同士の顔が見られ、多職種と密に連携がとれることが大きいですね。多職種と連携が取れると、看護を多角的に考えることができるし、1人の患者さんを多職種でしっかりと支えていくことができていると思います。この密な横の繋がりが他の病院にはない当院の魅力だと思います。そういう集団の中の“私”であるという楽しさも感じられますね。

看護師の雰囲気は病棟毎に違うのでしょうか?

急性期病棟はチームナーシングを採用しています。救急対応や手術室などの対応もあるので、本当に同じ場所にとどまっていないですね。急性期病棟はどちらかと言えば、外科系が好きな人が多いですね。回復期病棟は、プライマリーナーシングを採用しています。その人にあった介入をする為に、じっくりアセスメントするため「濃密」という印象ですね。回復期病棟は内科的にじっくり関わりたいという人が多いですね。
看護師を集団でみると、病棟毎に違った雰囲気があるかもしれませんが、看護師1人ひとりの“個”を見るとまた違う側面も見えてきます。私は個の集合体がチームであり、“個”の成長はチームの成長に繋がると考えています。1人ひとり、得意な部分を伸ばす関わり方を心がけ、“個”を成長させたいと考えています。

教育体制について教えてください。新人教育は現在どのような体制で行っていますか?

教育係と共に、1年間の教育プログラムの計画をたてています。4~6月くらいまでは新人1人ひとりに対し計画を毎日立てて進めていきます。3月には症例発表して1年目を締めくくるというプログラムがあります。また先輩と一緒に院内勉強会に参加したり、コロナ渦も少しずつおさまり外部の学会などへも積極的に参加していきたいと考えています。

相談できる先輩がいるなどサポート体制はあるのでしょうか?

当看護部では、1対1の特定の教育係を付けず、新人1人に対して、複数(4~5人)の指導係をつけています。教育係のメンバーも、2年目の先輩から5年目以上の先輩まで多様なメンバー構成にしています。

2年目以降の看護師教育について教えてください

2年目以降の教育体制は、もちろん教育ラダーに沿って行っていきますが、一律な教育ではなく個々の教育を行っていく感じになります。1年間経験した中での苦手部分など、穴をうめていくイメージです。そして救急対応・血管内治療など、本人が何を学びたいかに合わせて進めていきます。脳神経外科の専門病院なので「脳のことしかわからない」ということがないように、外部研修への参加も取り入れていきます。3年目以降は、リーダーになるための教育を少しずつ行っていく感じですね。

既卒看護師に対しては、何か違うプログラムで教育を行うのでしょうか?

脳神経外科の看護経験がある方も、最初の1・2ヶ月は新人と同じプログラムで教育を行います。これはまずは当院の看護を知っていただくためです。その後はこれまでの経験や“個”に合わせて進めていくようにしています。反対に、他院で培ってきた経験があるからこそ持っているスキルもあるので、それを当院の看護部に取り入れられるようにもしていきたいと考えています。

認定看護師取得へのサポート体制などはありますか?

現在、感染管理認定看護師の資格取得を目指し、教育課程を修了した看護師が在籍しています。当院に勤務しているスタッフが認定看護師の資格を取りたいと手を挙げてくれたことが非常に嬉しかったのですが、初めての試みだったので、受入体制が整っておらず、試行錯誤の日々でした。また、資格取得したスタッフはリーダークラスのため、1年間抜けたことにより、初めは周りのスタッフの戸惑いがあったかもしれません。今もまだ試行錯誤ですが、認定看護師の資格を取りたいという方は積極的に手を挙げてほしいと思っています。その方を尊重し、サポートできる体制づくりをしていきます。

急性期病棟ではなく回復期病棟からキャリア形成をはじめたいという学生さんもいるかもしれませんが、どのように考えていますか?

病期がいきなり回復期から始まるということはないので、まずは急性期病棟で経験を積んでもらいたいという部分があります。しかし今の看護学生さんには、回復期病棟での勤務や訪問看護師になりたいなどの意向もあると思いますので、回復期病棟からキャリアをスタートさせることや、一定期間で各病棟をローテーション制にするなども現在検討しています。

当院が求める人物像と就職を検討されている方へのメッセージをお願いします

看護師だからこそという技術やスキルの前に、「人が好き」な方がいいですね。“学生時代は終わったから勉強はしなくていいよね”ではなく、知識やスキルを上げるために自己研鑽できたり、自ら考えて行動できるといいと思います。
看護師としては、「リスク管理ができる」というのも大切にしています。何か起こるかもしれないと常に考え、何も起こらないように先を見越した見方や、常に問題意識をもって観察ができる人が必要かと思います。これは、実際に現場で働きながら身につけていく部分でもあると思うので、そういった力が身に付けられるようにサポートしていきたいと思います。

本日はありがとうございました。

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